AI エージェントで Qt Creator のエラーを確認して修正する
(掲載 2026年7月29日)
Qt Creator MCP Server を使い、Qt Creator 上で発生したビルドエラーを AI エージェントから取得し、修正した内容を Qt Creator に反映できるかを検証しました。対象は Qt Widgets のプロジェクトで、Qt Creator を開いた状態のまま、AI エージェントからプロジェクト情報の取得、ファイル内容の確認、ビルド実行、エラー取得、修正後の再確認を行いました。
Qt を開発環境の候補として考える場合、IDE が外部ツールや AI エージェントとどのように連携できるかは、今後重要な評価ポイントになります。コードを生成するだけでなく、実際のプロジェクトを見て、ビルドし、エラーを読み取り、修正内容を開発環境に戻せるかどうかは、作業効率に直接関わるためです。すでに Qt を使っている方にとっても、ビルドエラーの確認や修正の一部を AI エージェントに任せられるかは、実用的な関心事ではないでしょうか。
検証では、C++ のソースコードに意図的に間違いを入れました。具体的には、QFrame に対して存在しない setAutoFillBackgroundx() を呼び出すようにし、Qt Creator MCP 経由でビルドしました。その後、AI エージェントから list_issues (ビルドエラーの一覧を取得) を呼び出すと、Qt Creator の「問題」ビューに表示されるビルドエラーを取得できました。取得した内容には、エラーメッセージ、該当ファイル、行番号、候補となる正しいメンバー関数名が含まれていました。
この結果から、Qt Creator の「問題」ビューに出ている情報を、AI エージェント側でも修正作業の材料として利用できることが分かりました。エラーの内容を人がコピーして貼り付けなくても、AI エージェントがビルド結果を参照し、原因の見当をつけ、修正対象のファイルを確認する、という流れを作れます。今回の例では単純なタイプミスですが、同じ仕組みはより大きなプロジェクトでのエラー調査にも応用できると考えられます。
AI エージェント側では、このエラー内容をもとに実ファイルを修正しました。誤っていた setAutoFillBackgroundx() を、正しい setAutoFillBackground() に直した後、Qt Creator MCP から再度ファイル内容を確認しました。このとき、Qt Creator 側のエディター上の内容が古い内容を保持している場合があり、修正直後でも MCP からは修正前の内容が返ることがありました。この場合は、MCP 経由で対象ファイルを一度閉じ、再度開き直すことで、Qt Creator 側にも最新のファイル内容を反映できました。その後、再ビルドして修正後の状態を確認しました。ただし、list_issues (ビルドエラーの一覧を取得) が古いエラーを保持する場合もあったため、自動判定では問題の内容だけでなく、実ファイルの内容やビルド状態もあわせて確認する必要があります。外部ツールで実ファイルを変更する場合、IDE 側のバッファーとの同期が実用上の注意点になります。
Qt Creator には Qt AI Assistant も用意されており、選択したコードに対して /fix などのスマートコマンドで修正案を出し、必要に応じて適用できます。これは、開発者がエディター上で対象箇所を選び、AI に修正を依頼する使い方です。
一方、今回確認した Qt Creator MCP Server では、外部の AI エージェントが Qt Creator のビルドを実行し、Issues に表示されたビルドエラーを取得できます。そのエラー内容をもとにファイルを読み取り、修正し、Qt Creator 側に反映できる点が異なります。つまり、Qt AI Assistant はエディター内のコード修正支援、MCP Server はビルド結果を起点にした外部 AI エージェントとの連携と言えます。
今回の検証で、AI エージェントが Qt Creator のビルドエラーを読み取り、原因を確認し、ソースコードを修正し、その修正を Qt Creator 側に反映する一連の流れを確認できました。Qt をすでに開発で使っている方にとっては、日々のビルドエラー調査や修正作業を AI エージェントと分担する可能性があります。また、Qt を開発環境の候補として考えている方にとっても、Qt Creator が外部ツールと連携しながら開発作業を進められる点は、評価の材料になると思います。
Qt Creator MCP Server は、Qt Creator 19 で追加された基本的な MCP サーバー機能ですが、AI エージェントと Qt Creator をつなぐ入口として、今後どのように発展していくか楽しみな機能です。
Qt Creator 19 リリース
https://www.qt.io/ja-jp/blog/qt-creator-19-released (外部サイト)
MCPクライアントを使う
https://doc.qt.io/qtcreator/ja/creator-how-to-mcp-server.html (外部サイト)
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